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銀河英雄伝説

先日、『銀河英雄伝説』、略称『銀英伝』(ぎんえいでん)全10巻を読み終えました。
田中芳樹作。スペースオペラ。日本SF界の金字塔。
「今さら…」とも思いましたが、読んでよかったです。面白かった。

徳間ノベルズから最初に刊行されたのは1982年。
学生時代はSF小説にハマっていましたが、その頃の私は社会人になったばかりで、本を読むゆとりもないころで、なかなか手が出せず、今になってやっと読んだ次第。

1982年から1987年までの間に書き下ろし刊行され、原作は総計1500万部突破を記録したとのこと。アニメやゲームにもなっています。


創元SF文庫 田中芳樹(著) カバーイラスト=星野之宣

「専制政治」と「哲人政治」は紙一重。
「民主政治」と「衆愚政治」も紙一重。

専制政治に反旗を翻して蜂起し、主権在民を勝ち取る。
しかし、民主政治はものごとを決めるのに時間がかかる。お金もかかる。
危機に直面すると、強力なリーダシップを求めようとする心理が働く。 
衆愚の中から哲人が生まれ支持を受け、政権を奪取する。
哲人も代を重ねると倦みはじめ、やがて専制政治に陥る。
歴史は繰り返す。
しかし、依存から自由へという流れは止めたくないと思う。
責任を他者にゆだねるのではなく、責任は自分で取りたいと思う。

以下、引用です。

専制政治が一時の勝利をしめしたとしても、時が経過し世代が交代すれば、まず支配者層の自律性がくずれる。誰からも批判されず、誰からも処罰されず、自省の知的根拠をあたえられない者は、自我(エゴ)を加速させ、暴走させるようになる。専制支配者を罰するものはいない――誰からも罰されたことのない人物こそが、専制支配者なのだから。
(中略)
  人間の心に二面性が存在する以上、民主政治と専制・独裁政治も時空軸上に併存する。どれほど民主政治が隆盛を誇っているかのような時代でも、専制政治を望む人々はいた。他者を支配する欲望によるだけではなく、他者から支配され服従することを望む人がいたのだ。その方が楽なのだ。してもよいこと、やっていはいけないことを教えてもらい、指導と命令に服従していれば、手のとどく範囲で安定と幸福をあたえてもらえる。それで満足する生きかたもあるだろう。だが、柵の内部だけで自由と生存を認められた家畜は、いつの日か、殺されて飼育者の食卓にのぼらされるのである。
(銀河英雄伝説 8 乱離篇より)

(皇帝軍に敗れた同盟軍の宿将に、降伏が呼びかけられた…)
「皇帝ラインハルト陛下、わしはあなたの才能と器量を高く評価しているつもりだ。孫をもつなら、あなたのような人物をもちたいものだ。だが、あなたの臣下にはなれん」
「ヤン・ウェンリーも、あなたの友人にはなれるが、やはり臣下にはなれん。他人ごとだが保証してもよいくらいさ」
「なぜなら、えらそうに言わせてもらえれば、民主主義とは友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではないからだ」
「わしはよい友人がほしいし、誰かにとって良い友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下ももちたいとは思わない。だからこそ、あなたとわしはおなじ旗をあおぐことはできなかったのだ。ご好意には感謝するが、いまさらあなたにこの老体は必要あるまい」
「……民主主義に乾杯!」 
(銀河英雄伝説 7 怒涛篇より)

 

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